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日本人のフランス料理

2005年の秋の開業以来、たくさんのお客様や先輩方、業者様からご指導いただき本日まで営業させていただいておりますこと、大変有り難く感謝しております。

開業当初から、常に頭のなかにあることはフランス料理というものを日本人の自分がどう理解し表現したらいいかということです。たかだか10数年の修業で得られる技術などほんの少しで、まだまだ経験したこともない料理が山ほどあるのに、フランス料理でお客様からお金をいただき生活していけるのだろうかと、そんな不安を抱きながら、とにかく行動からという気持ちで今日まで来ています。

やったことのないことは、考えるより先にやってみる

触ったことのない食材などは、知識をためるより使ってみる。
そんなことの繰り返しで少しずつですが自分なりのフランス料理を作ってきました。
有難い事に今のお客様は本当のフランス料理を知っている方が多いので、リアルなアドバイスをいただくことが多々あります。
「フランスではこういう風にはしないよ」や「これは名前が違う!」、「この前行ったパリのレストランではこういう料理があったよ」など、お客様に育てていただいていると思います。

そんな日々の中で気づいたことは、クラシックな料理、古典料理というものの大切さです。
昔から作り続けられている料理には、色々なヒントが沢山包み込まれていて、勉強すればするほど、作れば作るほど、色々なことに気付かされるのです。分からなくても実際に作り続けると料理が教えてくれるのです。
これは実際に経験したものにしか分からないと思います。だから継続することが大事なのだと思います。

どんな時も楽しむための食事を

限りなく本物に近づき、それをお客様が感じて喜んでもらえた時の嬉しさは何物にもかえがたい感動です。
イノーヴェがお客様の食事の音、会話の声、ワイン片手に楽しくガヤガヤした雰囲気でいっぱいの時、自分が料理人として同じ空間にいて、関わりあえることがとても幸せで、この仕事をやってきてよかったなとつくづく思う瞬間です。

いつの時代でも人は口から物を食べて生きてきました。特に楽しむための食事はどんな時代においても、そのスタイルは変わらないと思います。
悲しい時も、豊かな時も、つらい時も、幸せな時も、いつも食事で祝い、なぐさめ、勇気づけられてきたのだと思います。
そのことがあり、私達はこれからも仕事として生きていける幸せを強く感じます。

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これからも世のために、人のためにつくせる料理人となれるよう努力を続けていきます。
イノーヴェがその言葉の通りイノーヴェ【-革新-】であり続けるように。

イノーヴェ店主
井上 毅彦